宙吹き成形

 代表的な工芸的ガラス器物の成形方法です。この成形方法は人工的成形法の曲型的なもので、作業者の高度な熟練と技術を必要とし、多くの工芸的ガラス器物はこの手法により作られます。

 宙吹き成形は、ほとんど型を使用せず、また加工工程中は常に細工窯で加熱し、表面を軟化させて仕上げていくため、ガラス表面の光沢と仕上がる器物の流動的曲線の美しさは、他の成形法にては得られぬ最高級のものとなります。

 作業方法は、長さ1200mm程度のステンレス製のパイプ(吹き竿)でルツボからガラス素地(たね)を巻き取り、特別な作業台でパイプより息を吹き込んで膨らませたり、特別のはさみなどの簡単な道具を使用してガラスの軟らかい間にいろいろの形に仕上げていきます。これにより作られる工芸ガラス器は、各種食卓用品、花器、置物など広い範囲にわたります。また、無色ガラスと着色ガラスとを使用して作る「色被せガラス」は、主にこの方法によって成形されます。