プラスチック材料を延伸すると強度が増すなど種々の物理的性質が向上します。そのため、フィルム、テープ、合成繊維の成形分野でも延伸加工が行なわれていますが、プラスチック容器の分野でも、透明性、強度、剛性、ガスバリヤー性の向上効果を期待して、延伸加工が行なわれています。これが延伸ブロー成形です。
延伸ブロー成形で最も一般的なものは、PETボトルの成形で用いられる延伸ブロー成形です。
延伸ブロー成形ではプリフォーム(パリソン)を成形した後、ブロー成形を行います。PETの延伸ブロー成形の場合、最も一般的なプリフォームの成形法である射出成形法が用いられています。
この射出成形型延伸ブロー成形法には、ホットパリソン法とコールドパリソン法があります。ホットパリソン法とは、プリフォームが射出成形の予熱を維持し、そのままブロー成形工程に移る方法です。
一方、コールドパリソン法とは、プリフォームの射出成形工程とブロー成形工程が分離され、プリフォームが一度冷却された後、再加熱されてブロー成形される方法です。例えば、海外で成型されたプリフォームを日本国内に運び、必要に応じてブロー成形をする場合はこちらになります。
コールドパリソン法は、ホットパリソン法に比べ、少品種大ロット向きでしたが昨今では小ロット向きとしての成形設備も開発されています。また、コールドパリソン法は、自由度が高く延伸倍率が大きく取れることやプリフォーム成形工程とブロー成形工程を最適化できることから大型ボトル向き、肉厚ボトル向きとも言えます。飲料のペットボトルだけでなく、シャンプーやボディソープなどの化粧品ボトルにも使われています。
PETボトルの歴史は、昭和49年12月にアメリカのDupont社がコーラ用PETボトルを発表しました。その後日本国内においても成形技術の開発に伴い、醤油・ソース・台所用液体洗剤・サラダ油のボトルなどに使用用途が拡大され、昭和57年2月には食品衛生法の改正により、清涼飲料に対しPETボトルが認可され、今日では果汁入り清涼飲料、炭酸飲料ボトルの主流となりました。さらに、ワインにも使われるようになりました。こちらは特殊なコーティングをすることにより、通常のペットボトルよりも気密性が高く、酸素透過率が低くなっているため、品質をある程度保持できるように作られています。また、ビールにも大手のキリンビールでKIRIN Home Tap(キリン ホームタップ)1Lなどでペットボトルの流行がきていますがまだ品数は少ないようです。