圧縮成形

 圧縮成形法はプラスチックの成形法、特に熱硬化性樹脂の成形方法の中では最も古い成形方法です。粉末状(時には顆粒状)の成形材料を金型のキャビティに入れ、圧力と熱を加えて成形する方法で熱硬化性樹脂に主として用います。熱硬化性樹脂の種類としてはユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などがあります。プラスチックの全生産消費量のうち熱硬化性樹脂の割合自体が少なく、しかも、その大半が接着剤や塗料として消費されており、成形用とされるのは僅かの量です。

 その理由としては、材料費は安いのですが、成形の自動化が難しい点があげられます。又、熱硬化性樹脂を成形すると何らかのガスが発生しますが、成形時に発生したガスは金型の表面に沈着し、離型(りけい)を悪くしたり腐食の原因になったりするため、原則として金型の成形面はハードクロムメッキを施さなくてはなりません。成形中も随時離型剤を塗布してやる必要があります。又、成形完了時、あるいは区切り時(もし連続稼動ならば定期的に)には、必ず成形面を清浄化(研磨剤で磨く)しなければならないというような金型のメンテナンスが必要です。加えて、圧縮成形の宿命であるバリ取り作業という後処理に手間がかかるので、所謂手離れが悪いという問題があります。さらには粉末状の材料を使用するために粉塵などの作業環境も良くないという問題もあります。しかし、廉価という事も有り、以前は電気製品、生活用品、食器などにも良く使われていました。又、化粧品用ヨウキにおいても、熱硬化性樹脂はキャップにも良く使われていました。しかし、昨今ではPPなど熱可塑性樹脂に切り替わっているものが多いようです。

 熱硬化性樹脂でなくては求め得られない物性があるため、昨今でも使用されることはありますが、傾向としては熱硬化性樹脂の利用は減少しております。これに伴い、圧縮成形メーカーは衰退の一途にあるといわれております。